果実酒の造り手は、国の数え方では何場あるのか
データ記事 / 公開 2026-08-27
造り手の数を確かめるとき、国の統計とこのサイトの掲載数は同じものさしではありません。国税庁の免許場数を参照しながら、何を数え、何が分からないのかを整理します。
- 令和6年度581
- 令和5年度551
- 令和4年度512
- 令和3年度479
- 令和2年度447
- 令和元年度416
- 平成30年度394
- 平成29年度355
- 平成28年度328
- 平成27年度305
- 平成26年度286
- 平成25年度277
国の統計と掲載数は別のもの
このサイトがこれまで照合してきたのは、国税庁の「酒類等製造免許の新規取得者名等一覧」でした。これは新しく免許を受けた人や事業者を追う資料で、以前から営業している造り手を一括して載せた名簿ではありません。古い造り手が一覧に現れないのは、漏れとは限らず、資料の対象外だからです。
今回見るのは、国税庁の「酒のしおり」にある免許場数の推移です。こちらは年度末の時点で免許を持つ製造場を数えているため、過去から続く製造場も含みます。一方、このサイトは公開情報から日本ワインの造り手を確認して掲載しています。国の統計は免許のある製造場、このサイトは掲載条件を満たした造り手を数えるので、並べて読む意味はあっても、一致することは期待できません。
| 年度 | 果実酒が主たる酒類 | 果実酒の免許も持つ | 合わせて |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 581 | 220 | 801 |
| 令和5年度 | 551 | 224 | 775 |
| 令和4年度 | 512 | 225 | 737 |
| 令和3年度 | 479 | 225 | 704 |
| 令和2年度 | 447 | 215 | 662 |
| 令和元年度 | 416 | 210 | 626 |
| 平成30年度 | 394 | 214 | 608 |
| 平成29年度 | 355 | 204 | 559 |
| 平成28年度 | 328 | 192 | 520 |
| 平成27年度 | 305 | 190 | 495 |
| 平成26年度 | 286 | 179 | 465 |
| 平成25年度 | 277 | 176 | 453 |
| 平成24年度 | 267 | 178 | 445 |
| 平成23年度 | 262 | 179 | 441 |
| 平成22年度 | 257 | 179 | 436 |
| 平成21年度 | 247 | 182 | 429 |
| 平成20年度 | 238 | 184 | 422 |
| 平成19年度 | 239 | 190 | 429 |
| 平成18年度 | 242 | 184 | 426 |
| 平成17年度 | 237 | 176 | 413 |
| 平成16年度 | 234 | 177 | 411 |
| 平成15年度 | 233 | 183 | 416 |
| 平成14年度 | 233 | 183 | 416 |
| 平成13年度 | 229 | 173 | 402 |
| 平成12年度 | 235 | 163 | 398 |
表を年代順に追うと、果実酒の免許場は長い期間で増えてきたように見えます。ただし、この表だけでは増加の理由は分かりません。ワイナリーの新設、既存事業者の参入、免許区分の変化などを、数字の動きだけから一つに決めることはできません。
二つの列を分けて読む
原表の注記には、「一の製造場で複数の酒類の製造免許を有しているものについて、主たる酒類を本書きとし、その他は外書きとして掲げた」とあります。表の2列目と3列目は、同じ製造場を重複して数えたものではなく、主たる酒類として扱われるか、別の酒類が主で果実酒が外書きになるかの違いです。
したがって、2列目はワインを主な酒類とする製造場に近い列です。3列目には、清酒など別の酒類を本業とする蔵が果実酒の免許も持つ場合が入ります。本サイトの照合では、こうした免許の中身は梅酒であることがほとんどでした。果実酒の免許があるという一事だけで、日本ワインの醸造所と判断できない理由です。
数字を比べる前に条件を書く
免許を持っていることは、確認日に実際に造っていることを意味しません。休止中の製造場や、別の酒類を主にしている事業者も統計には含まれます。また統計は年度末時点の集計で、公表までに時間がかかります。現在の公開情報を確認して作るこのサイトの掲載数とは、見ている時点も異なります。
新規取得者一覧との照合にも役割がありますが、それは新しく免許を受けた造り手を追うための照合です。今回の表は、以前からある製造場を含めた全体像に近い基準です。二つの資料は競合するのではなく、時間の違う穴を補います。
編集部の見立ては、掲載数が国の数の間に入ることを網羅の証明にしないことです。大切なのは、どの数字と、どの条件で比べたかを書けることです。新規取得者一覧を全件簿のように扱っていた点を直し、免許場数という比較相手を加えられたことに意味があります。数が合っていたかどうかより、比べる相手が正しくなったことのほうが大きいのです。
このページの出典
- www.nta.go.jp 2026-08-27国税庁「酒のしおり」令和6年6月・果実酒製造免許場数の推移
- www.nta.go.jp 2026-08-27国税庁「酒類等製造免許の新規取得者名等の公表について」
- www.nta.go.jp 2026-08-27国税庁・全国分の新規取得者一覧(平成26年以降)
- nihon-wine.vercel.app 2026-08-27このサイトの掲載情報と集計方法